第55話 side kira

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結局その日はだらだらと、いや、ベタベタと。いや、ベッタリと、麗佳の家で過ごし、夕食を外で済まして俺の家へ向かった。 一緒に風呂に入ると 「麗佳ぁ、どっちがいい? 」 薄手のシャツと少し厚手のシャツを用意して聞いた。 「ん~、どうだろ。厚手かなぁ? まだちょっと朝は寒いものね」 「おっけ」 厚手のシャツを麗佳に着せる。何かを考えてるのだろう彼女の顔。 「ん? 何? 」 「今、どんな状態? 」 「え? 彼氏んちに、お泊まり。一泊目」 明日も泊まるしな。 「どうして、昨日急に好きだとか言い出したの? 」 「やっと、正気に戻ったんだよ」 「……お帰りなさい」 過去からって分かってるよな。 「……ただいま」 「ところで、いつから好きなの? 」 ……ああ、確かに。 「わかんないんだよね。それが。たぶん同行した日かな? 手、触ってきた時」 彼女の手を繋ぎ、ベッドに座らせた。この手が、俺に触れた……あの時。 「そっか」 「ごめん、待たせて」 「いいの、どのみち、出来なかったと思うわ。彼氏いない歴を更新するだけ」 いや、出来ただろう。麗佳さえ、受け入れたら……凄い彼氏が。 「今年は雌ヒョウのように? じゃなかった? 」 「それなんだけれど、どうして私ってこんなに彼氏出来ないのかしら? 」 「いや、出来ただろ」 「出来なかったでしょ? 5年も」 「……教えない」 教えてたまるか。 「ということは、あるのね、欠点が」 「……ない」 「教えて、直すから」 「……教えない」 「ということは、あるのね、欠点が」 「……ない」 「ちょっと! もう! 」 ない。欠点なんて。完璧だ。 「おいで」 隣にいる彼女にそう言った。 「俺にとっては、長所だよ」 他の男をスルーする、塩対応。 「それに……」 「それに? 」 「出来たんだから、いいだろ? 彼氏」 「じゃあ、もし別れたら、教えてくれる? 」 そんな事、言う。余計教えねーわ。 「その時に、吉良くんの欠点も教えてあげるわね」 あるのか……俺にも。 「軽薄なところとか、言うんだろ? どうせ」 「うーん……どうかしら、ね」 彼女は、綺麗な顔で笑った。
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