第55話 side kira

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3年分の想いだろうか、今ここに戻って来て彼女が受け入れてくれる喜びだろうか。ずっと、こうしていたい。 「麗佳? 」 「何? 」 「そろそろ、二人の時は“吉良くん”やめて」 「吉良」 「……」 いや、だから……吉良って呼ばれて嬉しくないっつの。 「あはは! もう。可愛い」 そう言っては、またキスをする。可愛いんだよな、こういうところ。 「下の名前」 「……えっと……」 えっと? 「え……知ってるよね? 」 「だって、お名刺、頂いてなくて。私、昨日渡したけれど」 いや、同僚で名刺交換しないから。 「……。俺の事……好きなんだよね」 「ええ、たぶん」 そう言って、可愛く笑う。たぶん……とても、ガッカリです。 「裕仁だったかしら? 真臣? ……ええっと……」 ……なんだよ、もう。ジョークかよ。 「やめて下さいよ、中条さん」 呼んだ事ないけど。 「凌平くん」 ちょっと……年下って感じ出る。 「……んー」 「凌くん」 それは、嫌だな。梓を思い出すから。 「凌平さん」 うーん…… 「……」 「りっくん」 幼児か。 「……くっくっ……」 しっくり来るの、考えてるんだろうな。 「ちょっと、もう……萎えるか萌えるか分かんないから、やめてくれる? 」 「吉平」 ……迷走し出した。 「……もはや、別人。真ん中抜くなよ」 「凌平」 「うん……。じゃあ、もう、しーっ、ね? 」 そう言った俺の首に手を回し、麗佳からキスをくれる。 ああ、これ…… 『ほら、だいぶ気持ちが盛り上がらないとできないでしょ? そんなのがしてみたい』 『まぁ、完治した時に、好きな女にってシチュだよ』 あの時、そう言った。……する奴いんのかと……思ったけど。 麗佳の気持ちも。うん、最高だな。
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