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3年分の想いだろうか、今ここに戻って来て彼女が受け入れてくれる喜びだろうか。ずっと、こうしていたい。
「麗佳? 」
「何? 」
「そろそろ、二人の時は“吉良くん”やめて」
「吉良」
「……」
いや、だから……吉良って呼ばれて嬉しくないっつの。
「あはは! もう。可愛い」
そう言っては、またキスをする。可愛いんだよな、こういうところ。
「下の名前」
「……えっと……」
えっと?
「え……知ってるよね? 」
「だって、お名刺、頂いてなくて。私、昨日渡したけれど」
いや、同僚で名刺交換しないから。
「……。俺の事……好きなんだよね」
「ええ、たぶん」
そう言って、可愛く笑う。たぶん……とても、ガッカリです。
「裕仁だったかしら? 真臣? ……ええっと……」
……なんだよ、もう。ジョークかよ。
「やめて下さいよ、中条さん」
呼んだ事ないけど。
「凌平くん」
ちょっと……年下って感じ出る。
「……んー」
「凌くん」
それは、嫌だな。梓を思い出すから。
「凌平さん」
うーん……
「……」
「りっくん」
幼児か。
「……くっくっ……」
しっくり来るの、考えてるんだろうな。
「ちょっと、もう……萎えるか萌えるか分かんないから、やめてくれる? 」
「吉平」
……迷走し出した。
「……もはや、別人。真ん中抜くなよ」
「凌平」
「うん……。じゃあ、もう、しーっ、ね? 」
そう言った俺の首に手を回し、麗佳からキスをくれる。
ああ、これ……
『ほら、だいぶ気持ちが盛り上がらないとできないでしょ? そんなのがしてみたい』
『まぁ、完治した時に、好きな女にってシチュだよ』
あの時、そう言った。……する奴いんのかと……思ったけど。
麗佳の気持ちも。うん、最高だな。
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