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とは言うものの、少し中断をして私たちは今までの答え合わせをした。答え合わせというより、半分以上は、彼に対しての抗議のようなものなのだけれど。
彼は、きっと、本来は物凄く人との、特に女性との距離が近いのだと思う。だけど、これが吉良くんなのだから。
そして、そんな部分も愛しいと思ってしまう私は、相当重症なのだろう。
もう既に、さっき、着せたところなのに……器用に私のシャツのボタンを外し始める。反省はしても、時間は短い。
そんな彼を、愛おしく見ながら、そう思った。
器用な彼が、こんなに不器用になるほど、好きなのだわ、きっと。私の事を。それから……俊之さんの事も。
「麗佳?」
彼はいつの間にか、ごく自然に私をこう呼ぶ。その響きがとても優しく、呼ばれる度に胸がくすぐられる。
だから、彼にもそうなって貰おうかと、彼の呼び名を考えた。
彼の肩が震えた。というか、抱き合っているので、私も震える。
「あはは! もう。可愛い」
そう言って、またキスをする。子どもにでもするような、短いキス。
だって、彼氏を自分だけの呼び名で呼ぶだなんて……やってみたいランキング上位じゃないの。自分だけの呼び方。
幸せな時間。
「凌平」
「うん……。じゃあ……もう、しーっ、ね? 」
小首を傾げる彼に、信じられないくらい、キュンとなる。
困る。これ以上……。気づけば、彼の首に手を回し、自分からキスをしていた。
ああ、これも……。そうか、勝手にしちゃうんだ。
好きが、溢れると。
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