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────翌日、私の希望により買い物に出掛けた。彼の運転する車で。以前とはまた違う思い。
「運転中くらい、離したらどうかしら? 危なくない? 」
「……仕方がないよね、これ、定位置だし」
「でも……」
「わっかりましたよ。じゃ、後でね」
そう言うと、私の手に挨拶するようにキスをして、彼は前を向いた。
と、思ったら、もう一度私の方を向くと、今度は唇に軽いキス……
「ちょ、見られたら……」
「だからー、出先で出来ないんだから譲歩して、ここだよ。それとも、店先でする? 」
……どちらかでしなければならないわけではないのでは。
「あ、買い物行くけど、あれだけは絶対嫌だからね。いくら“やってみたい”って言っても」
「何? 」
「ペアルック。なんだ、ほらリンクコーデ……とかも」
「あははは! もう、しないわよ。だって、あなたが好きそうな服、私似合わないもの」
「ん、そうかな……」
「あ、でもあれならいいかしら? 」
「どれでも嫌だけど……」
「パジャマ」
「えー、麗佳、シルク100とか着そうじゃん」
「あなたも着たら……あはは、もうダメ。似合わない。チャラシルク」
「パジャマいりませーん。どうせ脱ぐし?
」
ニッと笑ってそう言う彼に
「それも、そうね」
と、返すと黙った。
私、服より食器買いたいのだけれど。食器はペアがいいのだけれど。これはいいわよね。
「何? ペアしたかった? 」
「ペアで買うつもりだったのだけど、まあ、あなたは好きなの選んで」
微妙な表情の彼にそう言った。
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