第56話 side reika

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────翌日、私の希望により買い物に出掛けた。彼の運転する車で。以前とはまた違う思い。 「運転中くらい、離したらどうかしら? 危なくない? 」 「……仕方がないよね、これ、定位置だし」 「でも……」 「わっかりましたよ。じゃ、後でね」 そう言うと、私の手に挨拶するようにキスをして、彼は前を向いた。 と、思ったら、もう一度私の方を向くと、今度は唇に軽いキス…… 「ちょ、見られたら……」 「だからー、出先で出来ないんだから譲歩して、ここだよ。それとも、店先でする? 」 ……どちらかでしなければならないわけではないのでは。 「あ、買い物行くけど、あれだけは絶対嫌だからね。いくら“やってみたい”って言っても」 「何? 」 「ペアルック。なんだ、ほらリンクコーデ……とかも」 「あははは! もう、しないわよ。だって、あなたが好きそうな服、私似合わないもの」 「ん、そうかな……」 「あ、でもあれならいいかしら? 」 「どれでも嫌だけど……」 「パジャマ」 「えー、麗佳、シルク100とか着そうじゃん」 「あなたも着たら……あはは、もうダメ。似合わない。チャラシルク」 「パジャマいりませーん。どうせ脱ぐし? 」 ニッと笑ってそう言う彼に 「それも、そうね」 と、返すと黙った。 私、服より食器買いたいのだけれど。食器はペアがいいのだけれど。これはいいわよね。 「何? ペアしたかった? 」 「ペアで買うつもりだったのだけど、まあ、あなたは好きなの選んで」 微妙な表情の彼にそう言った。
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