第57話 side kira

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──さて、買い物するか。 相変わらず麗佳といると、じろじろ見られるけど。まあ、仕方がないか。綺麗、だからなぁ。繋いだ手まで、見られる。もう、開き直ってペアルックで注目浴びるか。 いや、でもなぁ……。そんな俺をよそに、スタスタと歩いていく。 ……何だ?食器……? 「ねぇ、好きなの選んで」 「え? 」 「ほら、お茶碗小さかったでしょ? お箸も……お皿も」 「俺の? 」 「……そうよ、私の家で使う分」 「あー……」 「何よ、もう来ないの? 」 「行きます」 行くに決まってます。 「ペアは嫌だって言うから。わ、これ綺麗」 「ペアで、お願いします」 いや、むしろ食器はペアがいい。うわぁ、食器かぁ。良かった。それなら、もう“love”でもいーわ。 飲んだらブタ鼻になるマグカップでも。 俺んちも置いとくかなぁ。麗佳のマグカップ。もういっそ、一緒に住みたい。なんて言ったら『あなた色々間違ってる』って、また言うんだろうなー。 ──麗佳を待たせると、沢山勝った食器を一度、車へと一人で運んだ。 帰り道、そこで目が合った女性二人に引き止められた。俺の腕を軽く掴む。 「ごめん、彼女待たせてるんだ」 そう言うと、あっさり去った。 まぁ、その“彼女”が美人過ぎるから、引くしかないのだろうけど。 そこで気づいた。俺、まだこの体質完治してない。気分が悪くなって、急いで麗佳の元へ。 麗佳の肩に頭を預ける。いい香り。落ち着く。……ダメだな。もう。麗佳しか。何でだ、完治してないってのに……妙に嬉しい。麗佳だけだって、俺の体も言ってるみたいだ。 ──その日の帰り。麺が好きだと言った麗佳に 「長野とか、香川とか行ってもいいね」 そう言った。 「麺の為に? 」 「うん、色んなとこ行きたい。麗佳と」 「スニーカーも買えばよかったわ」 「あー……うん。いいね」 四国……歩く気じゃないだろうな……。麗佳なら、歩きそうだ。 お遍路さん……。
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