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──さて、買い物するか。
相変わらず麗佳といると、じろじろ見られるけど。まあ、仕方がないか。綺麗、だからなぁ。繋いだ手まで、見られる。もう、開き直ってペアルックで注目浴びるか。
いや、でもなぁ……。そんな俺をよそに、スタスタと歩いていく。
……何だ?食器……?
「ねぇ、好きなの選んで」
「え? 」
「ほら、お茶碗小さかったでしょ? お箸も……お皿も」
「俺の? 」
「……そうよ、私の家で使う分」
「あー……」
「何よ、もう来ないの? 」
「行きます」
行くに決まってます。
「ペアは嫌だって言うから。わ、これ綺麗」
「ペアで、お願いします」
いや、むしろ食器はペアがいい。うわぁ、食器かぁ。良かった。それなら、もう“love”でもいーわ。
飲んだらブタ鼻になるマグカップでも。
俺んちも置いとくかなぁ。麗佳のマグカップ。もういっそ、一緒に住みたい。なんて言ったら『あなた色々間違ってる』って、また言うんだろうなー。
──麗佳を待たせると、沢山勝った食器を一度、車へと一人で運んだ。
帰り道、そこで目が合った女性二人に引き止められた。俺の腕を軽く掴む。
「ごめん、彼女待たせてるんだ」
そう言うと、あっさり去った。
まぁ、その“彼女”が美人過ぎるから、引くしかないのだろうけど。
そこで気づいた。俺、まだこの体質完治してない。気分が悪くなって、急いで麗佳の元へ。
麗佳の肩に頭を預ける。いい香り。落ち着く。……ダメだな。もう。麗佳しか。何でだ、完治してないってのに……妙に嬉しい。麗佳だけだって、俺の体も言ってるみたいだ。
──その日の帰り。麺が好きだと言った麗佳に
「長野とか、香川とか行ってもいいね」
そう言った。
「麺の為に? 」
「うん、色んなとこ行きたい。麗佳と」
「スニーカーも買えばよかったわ」
「あー……うん。いいね」
四国……歩く気じゃないだろうな……。麗佳なら、歩きそうだ。
お遍路さん……。
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