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俺の家から、出勤する。手を繋いで。最寄り駅に着くまでに、離そうとする。
わざと、もう一度繋ぐと、めちゃめちゃ慌ててる。あー、ツボる。可笑しい。で、可愛い。
散々からかって、やり返されて、浮かれるくらい楽しい。って、にやけてる場合でもなく、ロッカールームへ入る麗佳と別れ、席に着く。部屋には結城だけ。
「はよー」
「あー、お前口紅ついてるぞ」
「マジ!? 」慌てて拭う。
「ふっ」
「お前! 」
「格別……だろ」
「……ああ。ほんと、そうだよ」
「飯」
「お願いします。あ、佳子ちゃんも一緒に」
「美男美女と食事、喜ぶだろな」
「……わかって来てるね、お前」
「俺も“イケメン”で良かった」
ボソッと言う結城に、笑う。ちょっとづつ、佳子ちゃんに似てきたな。麗佳も、似てきたりすんのかな、俺に。
……チャラ……いやいや。チャラくないわ。俺。
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