第1話 side reika

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彼女は【河合佳子(かわい よしこ)】 ふわふわとした見た目に反して、仕事にはキビキビと取り組んでいた。そして、意外にも……私より年上だった。みんなに習って“佳子ちゃん”だなんて、呼んでしまっていたけれど……。 彼女は、私の年齢を知っていたはずだ。それでもにっこりと受け入れてくれていた。気にする素振りもない。 大人の女性だ。先輩だったのに。不躾だった。自分より、何もかも上だと思っている人が実際に自分より年上だと、少なからずホッとする。その年齢になる頃には自分もそうなっているのではと、微かな希望が持てるから。 まぁ、佳子ちゃんと私は1歳しか変わらないのだけれど。……そして、私にはとてもじゃないが、彼女のように素敵な人にはなれない。 そこから、熊みたいに体の大きな男性から仕事を教わった。 【大友裕仁(おおとも ゆうじん)】190センチを超える大柄。気さくな性格に、年が近いのも親近感があるのか“話しかけ難い”そう言われる私にも、物怖じせずに話してくれる。 彼は、外国の人らしく、……背の高い私が並んでもまだまだ上の方に顔があった。 熊みたいだと、思ってしまったけれど……熊って実際どのくらいの大きさなのだろう。スマホを掴むと調べてみる。 どうやら、ツキノワグマは彼よりも小さい。ヒグマ、グリズリーのサイズが当てはまる。体重は熊ほどはなさそうだ。熊で一番大きいのは白熊。さすがに、白熊ほど大きくはないのか……。あ、でも雌の個体なら十分ありえる。 なので“熊みたい”は、あながち間違った例えではなかった。スマホを下ろしてそう思った。 ──── それから、半年ほど経った頃だろうか。職場にも、営業職にも、慣れてきた。そんなに頃に、男性二人が入社してきた。 ……社内が色めき立つほどの“イケメン”だそうで 【吉良凌平(きら りょうへい)】 【結城真臣(ゆうき まさおみ)】 ……どちらも私の二つ、年下だ。どちらも180センチ以上……185センチ以上?とにかく私が小さく見える程に、背が高かった。二人は営業職に慣れているらしく、ざっと総務の人たちが会社の説明をした後は、即戦力となった。 間もなく5階の一部屋を“営業部”として使用することになった。……デスクは6つ。あとの一つは半年後に入ってくる新入社員が使う予定だ。
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