番外編その3

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ああ、そうだった。 休日の朝、横で眠る彼の顔を確認する。……一緒に住んでるのだった。 休みの今日はなかなか起きないんだろうな。シーツも洗いたいけれど、洗い替えがあるからいいか。 少し癖のある髪を撫でる。大丈夫、この人はこんなのじゃ起きない。 綺麗な顔。惚れ惚れしちゃう。一緒に住み始めてから、唯一買った二人で眠る大きめのベッドから抜け出した。 ……やっぱり、もう少し。あとちょっとだけこんな姿を見てから動こう。 そう思って、顔を近づけた。素敵な人。 さて、と立ち上がり身支度を整える。軽いストレッチが終わると朝食の準備をする。 そっと寝室を覗くとベッドの上に胡座をかいてボーッとしてる。左側のほんの少しの寝癖は、ずっと私の方を向いて寝てた証拠。 片目の二重が少し幅広くなって……寝起き顔。可愛い。可愛い。可愛い。 「ふふ」 思わず笑ってしまって、目が合った。 「おはよ」 そう言って、両手を差し出す彼を立ち上がらせようと引っ張る。反動で彼の方へ倒れた私に、彼は言う。 「今日も、朝から綺麗だね」 「あなたも……朝から……」 「はいはい」 今日も、一緒に過ごす。それが、幸せな1日の始まりだ。
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