番外編その3

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── 「予約だけ、先にしとこっか。こうしてても時間は過ぎて行く訳だし」 雑誌をペラペラ捲りながら彼が言った。 「何の?」 「結城がさぁ、希望があるなら式場の予約は早い方が良いって。人気のある式場とかって埋まって行くんだってさ」 「一緒に住み始めたところなのに?」 「夢……あるだろ? こんな式したいとか、やっぱり女性は」 「んー……そうねぇ」 幸せ過ぎて、もうそんな事考えてなかったな。 「麗佳んとこも、お祖父さんもお祖母さん、ご健在だろ? 見せてあげたい、麗佳の花嫁姿。そうなると、そこから近い所……とか」 この人のこんなところ。いつも、麗佳は?って聞いてくれる。感情を出すのがそんなに得意じゃない私に。大切に思ってくれる、私だけでなく、私に関わる人も、全て。 「このモデルさんより、麗佳のが綺麗だな」 なんて、真顔で言ってる。 「そんな訳、ないでしょ」 「何でウェディングドレスってこんな胸も背中も開いてんの?」 今度は怒り出した。 「うわぁ、脱がせてぇ」 と、和装を見てそう言ったものだから、吹き出した。 「脱いだら自分で着られないわよ」 「ああ、そうだな」 「大変よ、12枚も脱がせるの」 「……え?」 「十二単って12枚ではないの?」 「十二単着るの?」 ……和装ってそうか、違うのね。皇族のお式を想像したものだから。そもそも、こちらが十二単ということは、男性側は…… あ、ダメ。想像しちゃっ…… そこから笑いすぎて 「……稀代のプレイボーイ」 ああ、彼、貴族なら絶対にそんな感じだ。 「麗佳~」 「ごめんなさい、神前、素敵ね」 息を整えてそう言った。 「俺も、そう思う。で、神様の前で……脱がしはしませんよ」 ニッと笑う彼に、私も笑った。
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