番外編その3

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俺と麗佳は同じ仕事をしている。 それなのに、だ。家に帰ると、ほとんど麗佳に任せっきり。 「なぁ、お前……飯とかどうしてんの?」 新婚ホヤホヤの隣の男に聞いてみる。絶対何もしていないだろうと、自分を擁護し、ホッとする為に聞いた。 「休日の……朝食くらいしかしてない」 「……え、マジ? してんの?」 「ああ」 弾まねえな、相変わらず。 「どうやって?」 「……彼女に聞けばいい」 「あ、そっか」 麗佳に聞いたらいいのか。たまたま、この部屋に入って来た爽やかな人にも聞いてみた。 「宮さん、料理ってされます?」 「えー……まぁ。料理とか……家の事は僕かな」 「……マジですか?」 「得意な方がしたらいいんじゃない? 僕は苦じゃない。楽しいよ」 そう言って、にっこりと笑った。男だから、女だから。そんな次元で生きてない、あの人。 「何でも出来るんだな」 結城がボソッと言った。 「だな。聞くんじゃなかった」 「お前も、何でも出来るだろう」 「そうでも、ないんだな、これが」 だけど、出来ないのと、しないのは違う。抜かずとも、刀は下げとけってやつ。練習、しよ。 ──その日から、キッチンで麗佳の後ろに立つ事にした。いや、いつも立ってるけど。視点を変えた。 「何?」 訝しげな麗佳に 「料理出来る男はどう?」 「……素敵ね」 「……そっか」 「しようと、思ってくれることが」 「うん」 「だけど……お料理まで出来ちゃうと、完璧過ぎない? あなた」 宮さんが出来るって事は……黙ってるとしよう。 「麗佳みたいには、出来ない。けど、簡単なのだけ、教えて。今日から」 「ええ、楽しいわね」 「あー……うん」 そうだな、こんな時間も。楽しい。
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