番外編その3

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──── 「あれは……可愛くないだろう」 「……え?」 「母さんに似たらもう少し、可愛いかったのかな……」 絶世の美女を娘に持って、この人は何を言っているのだろうか。 麗佳の両親に会いに来た日のことだった。 「あんな娘だけど……僕から見たら可愛くてね」 「可愛いです。僕から見ても。お義父さんと同じくらい。……きっと、そう思います」 「うーん……やっぱり世間一般では、そうじゃないんだとは思う。君も……僕くらいまでの盲目なのかな」 麗佳の天然、父親譲り。 「世間一般でも、トップレベルです」 「上手いね、君は」 「そんな、あれではなく……事実です」 「君といると、ずっと笑ってる。可愛げのない麗佳が」 「可愛いですよ、ずっと。だけど……ずっと笑ってて貰えるように……頑張らせて貰えませんか」 「……」 「結婚、させて下さい」 「頼めるかい?」 「はい、勿論。大切にします」 「君の苗字になるのが夢……だって言ってたらしい」 「構わないんですか? その……一人娘……ですし」 「夢、叶えてやってくれないか」 「はい」 「あの可愛げのない娘が、結婚出来るなら」 「可愛いです。僕も、そう思っています。あんなに可愛く育てて下さったご両親に……感謝しています。あ、これは……生意気かもしれませんが」 「……今日は、酒が旨そうだな」 「付き合います」 「ああ、行こう。可愛い……か」 「ええ。世界一」 「まぁ、浮気だけは……」 え……いや、それ、言う? 「ちょっと、しませんよ。絶対! 彼女を愛してます。彼女以外は見えないくらい」 「酒が入る前に、そんな台詞を言えちゃうのかー。僕は言った事ないなー」 「お義父さん!」 恥ずかしくなるわ。 「言ってみようかな……」 ああ、お義母さんに……か? 「ええ……喜びますよ」 麗佳の天然、親父譲り!顔も。 「タイミングが分からないなぁ」 ボソッっとそう言う。いつの間にか、自分の話になってる。だけど、俺より深い、愛が聞けるかもしれない。
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