いつかのいつか side kira

2/6
10988人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
 全く。でも仕方ないよな、綺麗だもん、マジで。  つか、一人知らない奴混じっていて聞き流すわけにはいかなかった。 「誰、与田」 「与田コーポレーションの方よ。この前、食事に誘われて。素敵な人よ」  ……絶対社長の息子じゃん、それ。 「つか、断ったんだろうな」 「いえ、ご一緒したわ」 「……は? 」 「その日、たまたまお昼が一緒になって。滅多に会社にいらっしゃらないみたいで、お会いできてよかったわ」  滅多に……?どういうことだ。 「社長、か? 」 「いいえ。会長よ。足を悪くされて、現在はリモート」 「リモート……」  会長。あ、そう。どうやったらそんなすごい人とランチになるんだ?……まぁ、いいや。 「ええ」 「今度から、直帰の仕事後はまっすぐ家へ帰ること」 「なるほど。直帰は、直ぐに帰るって意味ね」 「あーうん。うん? うん」  とりあえず、もう一つだけ忠告しておこう。 「宮さんが麗佳を綺麗だって言ったことは、るなちゃんには言わないで」 「……ええ。私だってそこまで命知らずじゃないわよ」 「はは、だな」 「るなちゃんは、宮司さんのことになると、荒くれ者に変貌するんだから」  荒くれ者……。 「ふ、はは。可愛いなぁ」 「……あなたも、そういうとこ。気をつけてね、息をするみたいに女性を褒めるんだから。ただでさえ、軽薄な見た目……」  はい、塞ぐー。けど、気をつけます。俺は全然、軽薄ではありませんが。キスの合間、麗佳が 「だけど、るなちゃんは、可愛いんだから、可愛いって、言ってしまう、わ、よ、ね」  と、言った。  
/328ページ

最初のコメントを投稿しよう!