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全く。でも仕方ないよな、綺麗だもん、マジで。
つか、一人知らない奴混じっていて聞き流すわけにはいかなかった。
「誰、与田」
「与田コーポレーションの方よ。この前、食事に誘われて。素敵な人よ」
……絶対社長の息子じゃん、それ。
「つか、断ったんだろうな」
「いえ、ご一緒したわ」
「……は? 」
「その日、たまたまお昼が一緒になって。滅多に会社にいらっしゃらないみたいで、お会いできてよかったわ」
滅多に……?どういうことだ。
「社長、か? 」
「いいえ。会長よ。足を悪くされて、現在はリモート」
「リモート……」
会長。あ、そう。どうやったらそんなすごい人とランチになるんだ?……まぁ、いいや。
「ええ」
「今度から、直帰の仕事後はまっすぐ家へ帰ること」
「なるほど。直帰は、直ぐに帰るって意味ね」
「あーうん。うん? うん」
とりあえず、もう一つだけ忠告しておこう。
「宮さんが麗佳を綺麗だって言ったことは、るなちゃんには言わないで」
「……ええ。私だってそこまで命知らずじゃないわよ」
「はは、だな」
「るなちゃんは、宮司さんのことになると、荒くれ者に変貌するんだから」
荒くれ者……。
「ふ、はは。可愛いなぁ」
「……あなたも、そういうとこ。気をつけてね、息をするみたいに女性を褒めるんだから。ただでさえ、軽薄な見た目……」
はい、塞ぐー。けど、気をつけます。俺は全然、軽薄ではありませんが。キスの合間、麗佳が
「だけど、るなちゃんは、可愛いんだから、可愛いって、言ってしまう、わ、よ、ね」
と、言った。
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