第1話 side reika

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同行最終日、るなちゃんが帰りにコーヒーでも誘ってきた。初日通り、別々に購入し席に着いた。なおも、会話のない私達。彼女が先に口を開いた。 「あの、ありがとうございました。ご指導頂いて……勉強になりました」 「休憩時間なんだから、気を遣わないで」 「では、プライベートな質問をしても……かまいませんか? 」 「どうぞ」 「彼氏……いらっしゃるんですか?」 ……そんな事が聞きたかったの?不思議に思って彼女の顔を数秒見つめた。 「いないわよ」 「な、なぜですが? 」 なぜ?そんなの 「私が聞きたいわ」 そう言うと、彼女は少し吹き出した。 「すみません。……つい」 なんだか、かぁと顔が熱くなった。……恋人もいないなんて……そう、思われたのだろうか。 「私も、いません」 「え? なぜ? 」 こんなに可愛いのに。 「私が聞きたいです」 今度は私が吹き出した。そこから、何年いないという話になって ……思えば、このあたりからるなちゃんは心を開いてくれた気がする。彼女も、長く恋人がいないと言った。なぜなのかは、わからないけれど。 そして、その可愛い見た目と、気の強いところがコンプレックスだとも言った。 「大型犬が獰猛なら、怖いけれど……ティーカッププードルの気が強くても、可愛いだけだわ」 そう言うと笑ってくれた。 「私はきっと……大型犬なのよね」 そう言うと、彼女は複雑な顔をした。 後日、自分の発言の間違いに気付き、間違った事を言ってはいけないと、訂正した。 「ごめんなさい、プードルは比較的温和らしいの。だから、チワワとか、スピッツはどうかしら? 同じ様に、可愛いわよ」 「……あ、ありがとうございます」 そう言った彼女の肩は小刻みに揺れていた。 ……何かおかしな事を言ったのか、よくわからない。でも、彼女が笑ってくれたので良かったなと思う。職場は人間関係が一番だから。 そして、私には職場を明るくできるような力はないけれど……。
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