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プロローグ
「あの話、なかった事にして下さい」
私と目を合わせることなく目の前の彼はそう言った。
「……わかりました」
「すみません」
そう言って去っていった彼の背中を見つめていた。『あの話』というくらいだから……私達は付き合ってはなかったのだろう。確かに、数回食事をしただけで、特に何もなかった。よくある事で、胸も痛まなかった。……なのに、『すみません』最後に謝られたせいで、こちらが振られた気分になる。
ついに、脱出できるかなぁって今回も期待したのだけれど……。気がつけば、“彼氏いない歴”は5年を更新していた。一つ年を重ねる事に難しくなっていく。
“恋愛”それが一番苦手で、一番望む物だった。
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