第1話 side reika

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第1話 side reika

──大学の卒業後 化粧品会社の事務として働いていたが3年目に差し掛かった頃……勤め先の企業が業務縮小により、この地域から撤退することになった。半年前に告知され、転職先を探していた際、会社が借りていたこのビルのオーナー会社より打診を頂き、間もなくそのオーナー会社へと再就職を果たした。 正直、有り難かった。通勤環境もそのままに働ける。勤務先が3階から5階へ変わるだけだ。そのうえ、以前より給料面、待遇面も申し分なかった。 ただ、一つを除いては。 事務希望、そう先方に伝えたにも関わらず、営業での配属。近々入ってくる男性二名と、次年度の新卒で入ってくる女性……それから、今は他部署にいる男性とで新たに営業部を作る。ならば、そこで営業事務をと懇願したが 「やってみるといいよ、大丈夫。それに……事務はもういるんだよね」 人事を担当している爽やかな男性は、にっこり笑ってそう言った。 中条(なかじょう)麗佳(れいか)。私は自分にコンプレックスを持っていた。勿論、それに対しての努力は……しているのだけれど。愛想のない女。こんな私に営業だなんて。しかも全く経験のない世界で。まともに人と関われない私が。 だが、期待には応えないと。それを除けばこの職場環境は、とても魅力だった。仕方なくそのまま、承諾した。営業部のない会社があることにも驚いたが……その立ち上げに携われる事は、違う楽しさもあった。 入ってみると、妙に勘ぐったのが馬鹿みたいに癖のない人間関係。営業部がないのは、社長含む上層部がそのポジションだった為。 事業の拡大により、営業部の発足となったのだ。引き続き、上層部が営業の直属となる。 私が望んだ“事務”のポジションにいた彼女は、私の中のコンプレックスをそのまま形にしたような人だった。 明るい性格。近い距離。誰もが彼女を愛している。ふわふわと笑い、誰とでも、いつでも楽しそうに過ごしていた。彼女がいれば、それだけでその場が明るくなるようだった。 ……見たくない。そんな気持ちになった。見れなかった。眩しすぎて……。
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