いつかのいつか side kira

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いつかのいつか side kira

「麗佳さん。麗佳さーん? 」  聞こえてるくせに返事をしない俺の婚約者をつかまえ、背中から抱きしめる。 「何で返事しないの」  くすぐったそうに身を捩りながらくすくす笑う。 「だって、あなたが私に敬称付ける時ってろくなことがないんだもの」 「は、無理なお願いなんてしたことないじゃん」 「……」  あれ、何で無反応よ。後ろからすっと長い髪を避けて顔を覗くと、頬を染めていた。あ、はあん。あれか、えっちなお願いのほうか、と悟る。が、直ぐにハッと思い直す。 「……いや、むしろ、そっちのが無理させてなくね? 」 「させてるわよ。昨日だって、私に新人さんの案内を任せたじゃない。私、人からの第一印象すごく悪いの気にしているのに」 「えー……仕事(そっち)かよ」  全然違った。ヤバい、余計な事言わなくてよかった。いや、職場ではそりゃあ敬称つけるだろ。   「ええ、酷いわ。あなたのように気軽に笑えないのよ、私は。もちろん、努力はしているわ」 「はは、ごめんって。けど、まぁ、自分で思ってるより向こうは好印象だったと思うよ」  なんせ、誰もが振り向く美人、だもんな。 「そうかしら、最近は佳子ちゃんを見習って出来るだけ愛想を良くしようと心掛けてるの」  絶対に斜めの努力だろうが、「えらいね」と頭にキスを落とす。 「ええ、こんな見た目なのだから、人一倍努力しなくっちゃ」 「あー……うん。ガンバッテ」  思わずカタコトになる。この上ない見た目だっつの。でも、まあ、伝えておこうと思う。 「綺麗だよ、いつだって」 「ふふ、私の事を綺麗だって言ってくれる人なんて、あなたくらいよ」  と、言った後で少し考えて、付け加えている。 「いえ、あと、佳子ちゃんと、るなちゃんと、宮司さん、大友くん、綾さん、社長、有村さんに、中野くん、上原さん、谷川さん、堂本くん、横浜くん、真子 ちゃん、筑波くん、 桐秦くん、俊之さんに、湊ちゃん……えっと、与田さん……えー」  多いな?  
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