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「ナイわ、バーカ。まだ言うヤツにびっくりするわ」
「はは、何だ、じゃあいいや」
含ませた言い方に
「何だよ?」
そう聞くと、別のヤツが答えた。
「こいつ、結構マジで和田さん気に入ってたんだよ、な?」
「あー、言うかぁ!? ま、いいや、振られたし」
「……振られた?」
告ったって事か?その事に、胸がざわついた。だけど、振られたって事にはホッとした。何だか内っかわが忙しいわ。
「……彼氏、いるんだってよ」
「は!?」
思わず、立ち上がってしまい、目の前の二人がのけ反る様に、俺を見上げた。驚く目に、少しばかり落ち着きを取り戻して椅子に座り直した。
「何だよ、知らなかったのか?」
「案外、仲良くないのか?」
「いや、仲いいし……」
初めて、“仲がいい”なんて肯定したが、そうでも無かったのかもしれない。
「結構、長いみたいだな。そんな浮かれたタイプでもないし……気づかなかったな」
「隠してもないだろ」
「ああ、どっちも落ち着いた感じだもんな」
“どっちも”片方は当然、朋子でもう、片方は……誰だ。結構、長い……。
へぇ、でも……俺よりは“付き合い”が短いだろう。相手が誰か、興味はない。知りたいとも思わない。
さっきから、変わらず、内っかわがうるさかった。
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