第3話 side yu

6/6
前へ
/406ページ
次へ
俺の教室の前の廊下を、朋子のクラスの生徒がパラパラと通りすぎる。俺に気付いた朋子が、いつもよりは控え目の変顔で通りすぎた。 「はは! お前とだと、あんなん? 和田さん」 「あー、そう、だな」 普段はもっと……ひでぇ顔。 何も変わらない。俺達は。それが、気に入ってた。だけど、変わりたくなくても、変わるもんだ。小学生(あの頃)とは違う。 変わらない事が、宝物だった出会った(あの)頃はもう、過ぎ去った。 「アキ子って呼んだらめちゃめちゃ怒られるぞ」 どうでもいい情報をひとつ、溢した。 「和田、だけにね」 「小学生かよ!」 「小学生、だったんだよ」 確かに、小学生だったんだ。あの頃は。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6121人が本棚に入れています
本棚に追加