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第4話 side yu
卒業後の進路は……俺はイギリスへと決めていた。
祖父母宅があるし、兄もいるし、親戚もいる、何より……ちょうどいい。そう思っていた。
何に対してかは分からない。遊びで作ってた、向こうの友人とのアプリケーションビジネスそんなのもやり易くなるし、それ以外にも。
見たくないような、離れたいような、自立しなきゃなんないような、払拭しなきゃなんないような……。そんな感情。
誰に対してか。日本というこのコミュニティからか……それとも……。
何にしても進学という形で日本を離れるのは、ちょうどいい。俺はそう思っていた。
朋子とは、時たまふざけて喋るくらいで、進路とか、恋人とか、そんな核心的な話はしなかった。だけど、何となく同じなんじゃないかなと思った。朋子もこの状況を、ちょうどいい。そう思ってる気がした。
「朋子ちゃん、九州の大学に行くんだって」
朋子の母親から聞いたのだろう、俺の母親がそう伝えて来る。誰も知り合いのいない環境へと進学を決めた朋子に、それを聞かされた時、同じだと……思った。
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