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高校卒業後、すぐに向こうへと行くつもりだった。多少、環境に慣れたかったし会いたい人も多い。無駄に行き来するより、楽だ。
久しぶりに全員集合だ。大友家と、和田家が。
「義くんだぁ!」
流石に抱き付きはしないが、朋子が兄の帰国を体現して喜んでいる。
「相変わらず、格好いい~」
……格好いいは関係ないだろ。朋子の姉の真知子は、兄、義仁とは同級生で、話も弾んでる。
真知子が義仁の元へ行ったのと入れ替わりで、朋子が俺の方へやって来た。
「よ、主役! 飲んでる?」
「おっさんか、お前。てか、主役はお前もだろ?」
新たな旅出は九州へ行く朋子も同じだ。
「私は、すぐそこだもん」
「はぁ? どこが」
「イギリスに比べたら……」
「はぁ、イギリスも思ったより近いぞ……」
「遠い、私には」
「なんだ、それ」
朋子はそう言うなりパッと顔を上げた。
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