第4話 side yu

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「ねぇ、荷造り済んだ?」 「ああ、何も持ってくもんないしな」 「おばさん、裕の部屋行くね!」 何で俺の部屋に行くのに、俺の許可じゃなくて母親に許可取るのか知らねぇけど 「はーい」 母親の返事を聞くとすぐに、上の階へと階段を登っていった。 ……変なもん、置いてねぇよな?自信はないもんで、朋子を追いかけた。 「うわ、相変わらず汚いなー」 「うっせ、片付けて行くんだよ」 床に開けっぱなしのスーツケースを見て 「ほんと、少ない荷物だね」 と、朋子が言った。朋子はちょっと出かけるだけでも物凄い荷物だ。 「一体どこまで行く気なんだよ」ってよく朋子をからかったもんだ。 「向こうに何でも揃ってるしな、買えばいいだろ、向こうで」 「そっか、裕は……そうだね」 妙に引っかかる言い方をしやがるもんで 「なんだ、それ」 「私は……知らないからさ、向こうを。だから、不安でいつも荷物が多くなっちゃう」 「お前だって、行ったことあるだろ」 いつかの夏休み、朋子ファミリーも、一緒にイギリスへ行ったことがあった。 「行った事はあっても、だもん。私と裕は違う」 「違う?」 「そう、私と裕は……全然違う」 何に苛立ったのか、そう言われた瞬間、無性に腹が立った。
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