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「はぁ!? 俺とお前の何が違うってんだよ!」
思ったより大きな声が出てしまって、朋子が目を見開いた。
「裕~!?」
リビングから、母親の怪訝な声が聞こえた。
「ふざけただけだ」
階段へ向かって、そう答えてドアを閉めた。
「裕でも、怒るんだね」
朋子はにこっと笑ってそう言った。自分でも、何にイラついたのか
「悪……」謝ろうとするより早く
「ねぇ、帰ってくる?」朋子がそう聞いた。
少し不安げに。
「その、つもりだ」
「いつ?」
「分かんねぇけど……」
「仁さんのとこ?」
長く、込み入った事は話してなかった。朋子とは。急に次々と質問してくる朋子に……懐かしいような感情が胸に込み上げる。
「……遊びに来いよ。こっちの大学は案外暇なんだろ?」
「……一人で飛行機乗ったことないもの」
「ふっ、バーカ」
何年前だろ、当たり前みたいに俺にもたれてた……あの頃は。今は……これ以上は近づかない。腕1本分くらいの距離。
不安げな目の朋子の頭にポンと手を置いた。
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