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時は、記憶が曖昧になってるくらい、遡る。母親の同級生で親友の子供。母親はこの同級生がいるからこそ、この場所での永住を決めた。
俺が小学校へ入学する少し前の事だった。6歳になるか、ならないか、くらい。
第一印象は、“ちっちぇ”3つ下の妹……よりは上か。
「裕仁くん、3月生まれ?じゃあ、私の方がお姉さんだね」
そのちっちぇえヤツがそう言った。
は?年上?
「朋子と裕くんは同級生だからね」
その子の母親がそう言った。
「おっきいね、牛乳好きなの?」
「牛乳飲んでデカイわけじゃないよ」
「ママ! 牛乳飲んだら大きくなるって嘘なの?」
「裕くんはパパが大きいからね、遺伝じゃないかな」
「“いでん”て、何?」
「裕くんは外国の血が入ってるの」
ああ、そうだな。だけど……子供は案外気にしない。違う事には敏感で、すぐに口に出すけれど
違うからといって……
「イケメンだ!」
朋子は嬉しそうに言った。
「イケメンだね!」
朋子の母親も嬉しそうに言った。
うちの母親が吹き出した。
「瑶子の遺伝子!」
負けじと朋子の母親が言い返す
「睦仁さん選んだ彬子だって、イケメン好きでしょ!」
まぁ、全然気にしてないな。誰も何も。
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