番外編 その3

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「いやあ、バーベキューでもしたいっすね」 出勤するなり、筑波が言う。 「はあ!? 今、 冬! バカなの?」 容赦ない、るなちゃんは、筑波と仲良し。 「施設で出来るんすよ。年中……」 「もうすぐ会社の忘年会あるぞ。多目的ホールで全社員集合して」そう説明してやると 「マジっすか、うぇ~」 「その『うぇ~』ってなに?」 「テンション、矢印上向きなかんじ?」 って、両手の人差し指で天井指してる。 「頭、わる」 「相原さん、最終学歴俺と一緒~!」 「言うなって言ってんでしょ、埋めるわよ」 「……賑やかだなあ」 と、目を細めた。るなちゃんが入ってきた頃の営業部は、俺と佳子ちゃん、時々吉良が話すくらいで静かなものだった。 そう、で、新婚旅行も終えて、無事に夫婦になったカップル。 「結城さん、これ……」佳子ちゃんが、たどたどしく、声をかける。 「佳子さーん、あなたも“結城さん”でしょ」 可愛い顔してからかう横浜に佳子ちゃん真っ赤。結城本人は、赤くなった佳子ちゃんに、ふっと満足そうに笑った。 それに、麗ちゃんも赤くなって、吉良はからかうポジションを横浜に奪われて、くっと肩を揺らすに留まる。真子ちゃんは、桐秦と眼鏡交換している。二人とも真顔で、楽しそうでもないが、元に戻すつもりもなく、そのまま交換して過ごしている。全くの謎。 非常に個性豊か。でも気のいい奴らだ。
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