6119人が本棚に入れています
本棚に追加
いつかのいつか side yu
「ねえ、あそこに新しいお店が出来るんだって」
朋子が言った。
「ああ、佳子ちゃんが言ってたとこな」
「そうそう。佳子ちゃんが言ってたところ」
……佳子ちゃん、どこでも言ってんだな。苦笑いして、朋子は行きたいんだろうかと顔を窺う。
「行きたいのか? 」
「んー、すごい人だろうしね。並んでまではどうだろう。まぁ、初日は避けてそのうちって感じかな」
「だな」
だよな、朋子はそんな感じだ。
そのつもりだったが、ふらっと出かけた時にその列を目にした朋子が
「あ! &! 今日だったね。あー、甘いの食べたくなっちゃったな」
そう言い出したから、
「並ぶか」ってことになった。
列は随分長かった。俺はデカイ。だから似たような背の奴はつい見てしまう。一人、二人。
前の方に並んでる結城に吹き出しそうになって、いや、朋子はすでに笑っていて、
「佳子ちゃんさすがあ」と感心していた。
佳子ちゃんもさすがだが、付き合う結城もさすがだ。出会った当初から思えば信じられないような気持ちになる。ここから見ていると、佳子ちゃんだけが話しているように見える。だけど、あいつにしては随分柔らかい表情で、結婚するなんて言い出した時はどうなることかと思ったが、本当に夫婦になったのだから、わかんねえもんだ。
最初のコメントを投稿しよう!