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「は!? 違うって、朋! 俺はお前が恥ずかしいんじゃないからな。朋といる自分が恥ずかしいんで、や、マジで。俺、朋は本気で美人だと思ってる」
朋子が目を見開いた。あ、この顔も可愛いな。ってそんな場合じゃないんだけど。朋子はウィスパーボイスで俺を咎めた。
「裕、裕! 声が大きいって。もう! 恥ずかしい。恥ずかしいよ、もう。わかってるわよ、会社の人に見られるの恥ずかしいだけでしょ? ちょっとからかっただけ。もうこのテの冗談二度と言うのやめる、悪かったわ」
「あ、そっか。いや、まあ、そっか。あー……悪い。感じ悪かったかなと思ってさ」
「大丈夫、大丈夫よ、もう」
「ん」
朋子はまだ半分食ってねえショートケーキの皿を俺から引き寄せて、ふふっと笑った。……美人、じゃね?マジで。笑い方とか、食い方とか、瞬きの仕方に至るまで、よくもまあ、こんな好みの人間がいるもんだと感心する。
――朋子は、美人だ。
「それにしても、会社の人たちほんとイケメンよね。裕、目立ちたくなくて今の会社に来たんじゃないの? 」
「はあ、目立ちたくねえならイギリスいるっての。向こうじゃ俺の顔なんて全然だからな」
「へえ、じゃあ、何で日本戻って来たの? モテて大変でしょうに」
……こいつ、マジか。
「お前がいるから、だろうがよ」
「あ、そっか、そっか。あはは」
あはは、じゃねえよバカヤロウ。
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