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「さっすがー、モテんね、お前。んで、イイね、あの断り文句。まぁ、あれで引かない彼女もなかなか……」
こいつは、こんなのな癖にモテる。それを“結婚を考えている人”が、聞いてしまったわけだ。本気だ、こいつは。自分は保険だと言ってたけれど、佳子ちゃんの幸せをただ、願っているけれど……佳子ちゃんと結婚してもいいと思う気持ちは本物だ。
それって、つまり……他の女性の入る隙はないって、事だ。今の結城にとって。
佳子ちゃんは俯いたまま。空気を察した吉良が、“ぽん”と、佳子ちゃんの頭に手を置いた。勿論、慰める為に。
ほんの……一瞬の出来事だった。吉良なら、普通にこんな事をしそうではある。
だけど……吉良……だ。女性に触れられないはずの、吉良が。
結城が、俺が、それから、触れられた佳子ちゃんが驚いて吉良を見た。ここ数年、吉良にはあり得なかった行動に。
「あ、なんか……ちょっと大丈夫になってきたんだよね。その……限定されるけど……まだ」
しばらく、誰も何も言えなくなるほどの
出来事だった。
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