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「えー……俺も……いないけど?」
正直に言った。
「「え?」」
「お別れしましたー」
「なんで?」
「はやっ!」
「んー、何かめんどくさくなっちって……いや、まぁ結果的には振られたんだけど……」
「大友さんて、付き合っても彼女の特別感なさそうですもんね。お疲れ様です」
振り向くと、ちょうどこのタイミングでるなちゃんも帰って来た。
「……あ、帰ってたの?お疲れ……」
るなちゃんは、うちの女性の中では断トツ……恋愛関係にはするどい。あとの二人が酷いってのもあるけど……。
「ほんで、するどいね。なんか、そんなん言われたわ」
「大友さん、普段人当たりいいのに闇が深いですね」
「うわ、やめて。泣いちゃう」
茶化したものの、その通りだ。面と向かって言われると、サクッとくる。
吉良に寄りかかると
「ただのバカなんじゃない。」
と、言われる始末。まあその方が楽しくていい。勿論、この男も分かっててフォローしてくれたんだろ。
麗ちゃんの視線は氷点下。
「それで、麗ちゃん、やめて? その目。俺、フケツになった気分」
「あ……ごめんなさい……」
今度は同情を含む謝罪。
「謝るな! よけい傷つくわ! 」
しょうもない事を言ってると
「……お疲れ様です……」
結城も帰って来て、フロアは全員集合だ。途端に佳子ちゃんの様子がおかしくなるのを、横目で捉えて口を押さえた。
……可愛い。
「あー! じゃあ、みんなイヴだってのに予定なしー?」
結構気を利かせたつもりだった。
「飲みにでも、行く?」
グループ交際かよ、とは思うけど、佳子ちゃんと麗ちゃんだしな。
「あ、俺パス。残業決定」と、吉良。
「同じく……」と、麗ちゃん。
「なんだよー……色気ねぇなー」
少し頬を染める麗ちゃんに、こっちはそうでもないのか、と思う。
じゃあ、こっちは?結城の方を見ると……
「俺も今日は無理だな」
ボソリとそう言う。
「何? 仕事多いの? 手伝おっか?」
この男を早く帰らせたいのは、佳子ちゃんの為か、はたまた麗ちゃんの為か……。
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