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「いや、仕事じゃない。上、行ってくる」
仕事じゃない……だと!?
「ちょ……マジ? プライベート? イヴに?」
途端に佳子ちゃんが固まる。
「暇なら、今手伝え」
そう言った結城とフロアを出た。営業のフロアを出たら、直ぐに聞いた。
「お前、誰と過ごすんだよ」
「“彼女”」
「……彼女……出来たのか?」
何考えてんだ、こいつ。
「いや、この前の“彼女”。断るんだよ」
……ああ、断んのか。
「って、イブだぞ、今日!」
「ああ、俺もさっき気づいたとこ、だ」
本当、何考えてんだ、こいつ。
「あのなぁ……お前」
「分かっている」
分かってる?とてもそうは思えない。イブに振るのもひでぇし、イブに誘わないで、他の女性との予定を入れるのもひでぇし、色々。
何を『分かっている』のか、俺には分からねぇ。まあ、仕事はちゃっちゃと終わらせて帰るか。
あっちの二人は……何とかなるかもしんねぇしな。潔癖な吉良と、誰より清潔感のある麗ちゃん。考えてみれば、妙にしっくりくる。軽薄そうに見えても、あいつはとても人を大切にする。
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