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僕の脚の間に埋めていた顔を上げ、その人は汚れた唇を舌で拭うように笑みを纏った。その様が、とても綺麗だと思う。
もう見飽きるくらい、それこそこの世に生を受けたその時からほぼ毎日この顔を見ているというのに、飽きる事も懲りる事も無く見る度に綺麗だと思う。
だからきっとこの人より綺麗な物なんてこの世には存在しないんだと思う。
「…気持ちい?」
綺麗な二重の瞳を細め、僕を見上げる。少し濡れた唇から、目が、離せない。
肩で息をして目に涙を溜めながらも小さく頷けば、より一層目を細めて「かわいい」またさっきと同じ言葉を落とした。
「もっと気持ちよくしてあげる」
作り物のように綺麗な笑みを浮かべたその人は、また僕の脚の間に顔を埋める。
僕の欲望の塊をそっと握った大きな手は、僕を気持ちよくする為に動き出す。先端から滲み出た蜜を舐め取った舌が、今度は出っ張った部分をなぞった。思わず腰が浮く。
チロチロと動く赤い舌。時折僕の反応を窺うように上目がちに向けられる視線。僕を包み込む大きな手。
この人の全てが、僕を気持ちいい世界に連れて行く。
この人の存在が、僕の頭をおかしくさせる。
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