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だけど兄さんが僕に注ぐ愛情は、母さんや父さんのそれとは少し違った。少し、なんて言葉で片づけれるものじゃないかもしれない。
だって、こんな事をしてるんだ。
こんな事、おかしいって分かってるのに。気持ち悪いって分かってるのに。
「歩夢、その呼び方やめてよ」
少し拗ねたように口を尖らせた兄さんは、僕の唇に優しくキスを落とす。
親鳥が雛鳥に餌を渡すように、優しく優しく、僕の唇を啄むように何度も形のいいそれで挟んだ。
「ほら、呼んで」
「ん…、大夢…っ」
甘えたような声でそう呼べば、僕とよく似た形の目を嬉しそうに細める。
その表情が、好き。男らしく隆起している喉仏はもっと好きで、汗ばんだ胸板はもっともっと、好き。
好き。好きだ。
僕と同じ字を分け合うこの人が、
僕と同じ血が流れるこの人が、
僕と同じ性器を持つこの人が、
たまらなく、好きなんだ。
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