170人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
あの日から何故か、溜め息を吐く回数が増えた。
なんだろう。この感情。
虚無感、…っていうのだろうか。
心にぽっかりと穴が開いてしまったような、そんな感覚。
無意識のうちにまた首元の傷痕を撫でている自分の指先の感触に気づいて、ハッと我に返る。
もうあの日から、何度ここに触れたか分からない。
またもや長い溜め息を吐き出しながら、ダイブするようにボスンッとソファに身体を沈めた。
すぐにゴロンと寝返りを打って、真っ白な天井を仰ぐ。
空きっ腹にアルコールを注いだからか、今日一日の疲れからか。
緩やかな睡魔が襲ってくる。
だんだんと重くなる瞼。瞬きすらもできなくなった頃、私の手はまた無意識に首元へと伸びていた。
なんで、どうして、
こんな感情が湧いてくるんだろう。
---…寂しい、なんて。
最初のコメントを投稿しよう!