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ガシャンッ、そんな物騒な音と共に床の上を転がってきた物を視界に入れた瞬間、ギョッと目を見開く。 それはコツコツと貯めたお金で最近ようやく買う事ができた家庭用脱毛器だった。 「…っちょ、何すんの…!?」 慌ててそれに駆け寄り、飛び出した器具を拾う。 壊れたんじゃないかとヒヤヒヤしながらそれらに傷がついていないかを確認していると、いきなり腕をガシッと掴まれた。 「…っきゃ、」 掴まれた腕を物凄い力で引っ張られ、次の瞬間には背中がドンッと壁に当たる感触を受ける。 鈍い痛みが走り、目を細める私をにやりと口角を上げながら見下ろす男。 全身を黒で纏っているその男は、今日もフードを目深に被っている。 口元しか見えないけれど、この男が誰だかなんて一瞬で分かった。 「久しぶり、未夜ちゃん」 キラリ。口元のピアス--ラブレットが、妖しく光る。
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