名無しの少年

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僕には名がなかった。 名がないから呼んでもらえない。 名がないからキッカケにならない。 だから、繋がりあえない。 だけど、僕には願いがあった。 初めからあったのではない。 みんなが楽しそうに話し、泣いたり、怒ったり、笑ったり。 羨ましい……。 それが一番目の感情だった。 でも、それがそういう感情だと知ったのは、多分そうじゃないかと思い出したのは、ずっと後だった。 僕は僕に語りかけようとした人を愛したかった。 名を呼べず去った人を憎みたくなかった。 後ろ姿を見せる人達に振り返って見て欲しかった。 どうしたらいい。 わからなかったんだ。
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