弘美の大切な宝物

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 どうやら今日の晩御飯のメニューはやきとりのようだ。僕は、言われた引き出しを開ける。引き出しの中を見た僕は驚いた。そこには鉄串が引き出しいっぱいに入っていたからだ。 「なんでこんなにいっぱい鉄串入ってるの?」 「たくさん使うと思って昨日買っといたの。あ、こっち味噌汁作り終わったから、肉叩きちょうだい。洗うから」  肉叩きを弘美に渡した瞬間、大きな雷と同時に部屋が真っ暗になった。 「停電か。ちょっと、懐中電灯取ってくる」 「ねぇ」  懐中電灯を取りに行こうとする僕を引き留める弘美。 「私に何か隠してること、ない?」 「弘美に隠してること? ないけど」  実は一つだけ、弘美には絶対に知られてはいけない秘密を僕は隠し持っていた。 「本当? 嘘ついてない?」 「本当だよ。何も嘘なんてついてないよ」  部屋に明かりが戻る。弘美からのそれ以上の追及はなかった。僕は鉄串に鶏肉を刺し始める。 『○○市の○○公園のトイレから女性の遺体が発見されました。発見された女性は近所に住む会社員の○○○○さん24歳とみられ、警察は殺人事件として調査を進めています』  ニュースを聞いて全身から汗が溢れて来るのを感じた。さっきから流れているニュースの被害者の名前に聞き覚えがあったからだ。     
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