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♪~♪~♪~
ある夜、早くに床についていたユウコのスマホが着信を伝えた。
ぼーっとした頭でそれに出ると、病院からだった。
ユウコは急いでタクシーに乗りタケルの入院すら病院へと急いだ。
病室に入ると医者と、複数のナースがタケルのベッドを囲んでいた。
奥さん来られましたよ、とナースはタケルの耳元で言った。
ユウコは急いでタケルの耳元に寄り、話しかけた。
…意識が薄いようだった。
「あなた、あなた…」ユウコはタケルの手を握ってどうすることもできずその手をさすり続けた。
医者とナースは俯きがちだ。それだけで、今がどんな状況なのかユウコにはわかった。
タケルがもう動くのも辛いはずなのに、片手で自分の酸素チューブを取り、空虚に手を伸ばし笑顔で
「ユリちゃん!来てくれたんだね…ユリちゃんママも!うん、ありがとう」
それがタケルの最期の言葉だった。
幸せな夢を見ているかのような顔をしてタケルは深い深い眠りについた。
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