カンガルー

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秋晴れ。ユウコは気持ちよく自転車を漕いでいた。 今日はスーパーでたこ焼きを安く手に入れたのでそれを自転車のカゴに入れ、緩やかな下り坂をペダルをこがずにくだっていた。 風が冷たい。 耳たぶが少し痛い。耳あて持っておけばよかったなぁ。 「うわぁ」 目に雪虫が入りそうになって慌てて自転車を止めた。 もうすぐ雪が降りそうだ。 …タケルの言葉が頭から離れない。 〝子猫、全然大きくならないんだ。ねぇー…ユウコぉ、俺は心配だよ〟 ユウコは、自転車から降りて歩道の脇に止めた。 タケルの、猫を心配する悲しげな顔がまぶたに浮かぶ。
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