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「痛いよ・・・『右コン』・・・」
「わたしもよ・・・『左コン』・・・」
「消えないで・・・『右コン』」
「大丈夫よ!『左コン』」
跡形も無く解体され、瓦礫と化した神社境内の狐像のあった跡地で、2匹の白いキツネ達が悶えていた。
「もしかしたら・・・俺達は・・・」
「あの区画整理で破砕した、廃神社の呪いでも受けたのでは・・・?!」
「まさか・・・」
建設業者や山林の開発関係者は、知らなかった。
この廃神社は実は、戦国時代にこの近くで、落ち武者達がこの地に生活している農民や村民を次々と襲い、皆殺しにした事件が起きた伝説を・・・
多大な犠牲者を出した忌まわしい事件を供養する為に、この神社が建立されたのだ。
「最後には人間にやられたけど・・・」
「これも運命なの・・・?」
ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、
お互い涙ながし、もうこの世から消えてようと身体が薄くなってきた2匹の白いキツネ達の目の前に一人の建設員がやって来た。
「ごめんな。おふたり。ここに代わりの祠を建てるべな。」
その建設員は、2匹の白い妖キツネが合わさって化けた巨大な九尾狐が襲った時に手槍を投げて『呪い』に打ち勝った者だったのだ。
・・・・・・
・・・・・・
やがて、月日は流れた。
山林の有った山々には閑静な住宅地が立ち並び、その一角に小さな祠が建てられた。
その左右に、修復された狐像が置かれていた。
その狐像は白いキツネとなって、夜な夜な像の台から飛び出して住宅地の周りを遊び回るという都市伝説が囁かれている。
~白い妖狐祟る~
~fin~
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