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3月といっても、まだまだ信濃は寒い。父の厚いコートと、母のマフラーを借りて私は外に出た。 太陽が眩しかった。 冬の間、雪に埋もれて見えなくなっていた小川にキラキラと水が流れている。 カエルが一匹、川に飛び込むのが見えた。 川辺にはつくしも顔を出していた。 もう、春なんだな 母に頼まれた味噌を買って帰ろうとすると、 「弥生じゃないか。久しぶりだな」 幼なじみのヒロシだった。 「あら、こんなとこで何してるの?」 「それはこっちの台詞だよ、東京でOLしてたんじゃないのか。」 「まあ、いろいろあってね。」 「ヒロシはなにしてるの?」 「俺、ここのスーパーの副店長!えっへん。」 「へー、やるじゃん。頑張ってんだ。」 「毎日、怒られてばっかりだけどな。」 あんなに泣き虫だったヒロシがなんだかたくましく見えた。 スーパーを出て、まだ雪の残る歩道を歩いてると、見覚えのある柴犬が駆け寄ってきた。 同級生のヒトミん家のコロだった。 「あ~ヒトミ~。」 「あ~ヒトミ~、じゃないわよ、帰って来てるなら連絡くらいしなさいよ。」 「だってぇ~」 「まったく、あんたって子は!」 「会いたかった~」 私はひとみに抱きついて泣いた。 その日の夜はヒトミとヒロシそれにタケヒコも加わり四人でタケヒコのお父さんの居酒屋で、朝まで飲んだ。     
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