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一人の少年が「雇う人」ポーツマンの営む宝石店からものを盗んだ。
何故かそのときはたまたま誰も手が空いておらず、珍しく早起きをしていたレルケが現場に行き、消すことになった。
たかが盗みごときで子供を殺す。それが「雇う人」ポーツマンのやり方で、「雇われる人」のやること。
レルケが人ごみのたかった現場につき、人の間を何とか潜り抜け、顔だけを出し宝石店を見つけた。
すでに少年は捕まっており、というより血だらけで。もう終わったんだろうかとレルケは首をかしげた。
指が動いた。―――死んでいない。仕事はまだ終わっていないようだ。
今日は早起きだったので、少し動けばけだるさも取れるかと期待したがそれもなく、逆に眠気に襲われていた彼はすぐに終わらせようとしたが、人ごみに邪魔されてうまく体を動かせない。はさまれっ放しで身動きが取れない。
「うー」と唸ったが小さな子供のことなど大人達は気に留めることもなく、いまだ続くリンチを遠巻きに見つめていた。
盗みを働いた血だらけの少年は、もはやそのまま何もしないでも死を迎えることは容易に想像できたが、しかしその少年は立ち上がり、自分の盗んだ、リンチを受けても一度も手放さなかった宝石を掲げ、叫んだ。
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