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「これ一つで俺達の数十人の命が助かるんだ!」
大人たちの動揺を他所に、全く構わず続けた。
「こんなちっぽけな石で! 人間が!? なんだそれは!? なんだそれはぁ!!?」
なにやら元気そうなので、レルケはそのまま放っておくという選択肢を諦め、やっと人ごみから抜け出た手をその少年にかざした。
「お前達は! 知っているのか! 人の価値を! 知っているのかぁ!?」
―――。
何かを呟こうとして、レルケはそして手を止めた。
そのまま「盗人」の少年に近づこうとし、
リンチに参加していた青年が、広場にのこのこと出てきたレルケを見やり笑い飛ばした。
「オイ! 仲間が来たぞ! ガキが! こいつを助けにきたのか!?」
それは、レルケを知らない新入りの「雇われる人」の嘲笑で、それを知らない「盗人」の少年はレルケを見て、叫んだ。
「何してる! 逃げろ!」
「盗人」の少年はレルケを知らなかったが、自分の仲間と認識されたレルケが何をされるか容易に想像できた。
レルケはぼうっとしていた。
特に何をしようとしたわけではなく、この新入りの「雇われる人」が何か邪魔をしてきそうだから先に殺すか、構わず標的を殺すか迷っていた。
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