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 それは、普通の人が見れば突然血なま臭い現場に足を踏み入れ、何をしていいかわからず立ち尽くす少年のそれに見え、実際「盗人」の少年もそう思った。 「・・・っ! ああ! もう!」  「盗人」の少年は、本当はここで死んでやるつもりだった。  それでアジトに残った意気地なしの大人たちを焚き付ける火種にくらいなってくれれば、と考えていたのだ。  それを、  こんな見ず知らずの子供を助けるためにフイにするなんて―――!!  そのような経緯もあり、今レルケは「盗人」の少年に抱えられ、一緒に「雇われる人」から逃げていた。  ―――これはなんだろう?  不思議な光景だったが、レルケは眠たかったのであまり抵抗せず、されるがまま抱えられた。  実際―――この「盗人」の少年は元気に走っている。やはりあのまま死ぬのを待っているのは無駄だったということだろう。  レルケは確かにやたら軽い痩躯だが、抱えて走り続けるのに適しているとはやはり思えない。 「お前! もういいか!? 放り投げていいか!?」  さっきからそんな「見捨てるぞ」というような台詞を吐いているが。  だったらさっさとすればいいと思う。正直あまり寝心地がいいとは思えない。逆になんでそうしないのかがずっと気になっていた。  というより。  ―――何で僕はこの子を殺さない?     
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