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何だろう。比較的理由は思い浮かばない。しいて言うなら、気乗りしない。
別にいいけど、何か面倒だ。
そうしていると段々思考の渦に巻き込まれていきそうになり、憂鬱になり、とうとう思考を投げ出し―――
―――レルケの目の端がヒクと痙攣する。
「・・・上」
「え?」
問いかけると同時に顔に影が降り、そしてそのまま刃を下に刺し下ろした格好の男が少年達めがけ降り落ち、
レルケが手を掲げ、
男は意思のない塊となって刃を放し、地面にただの荷物が落ちるかのように無謀な着地を行って絶命する。
それまでが瞬き一つの間で起こり、「盗人」の少年はそれを自覚することなく「何だあの人?」程度で通りすぎた。
「盗人」の少年オミサスは、この国が建つ前にこの地に元々住んでいた原住民「残る人々」の末裔。
「残る人々」の扱いは犬猫以下であり、侵略者たる国民達からは疎まれる対象。
当初はさらに積極的な邪魔者扱いを、つまり弾圧を行っていたが、諸外国からの警告などにより、現在は住居地の制限までに留まっている。未だ、人権はないが。
制限された住居地は海、川からは程遠い郊外のさらに外。
レルケが、拾われたところ。
レルケは、もちろん憶えていない。自分がどう生まれ、誰が親で、拾われるまでどう生きていたか。
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