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 この「フリーダム」は治安の悪さといえば国で2、3を争う場所だが、常に死の覚悟を余儀なくされる「ジャガ」手前の区画よりはまし。そんな理由で二人は今ここにいる。  というより。 「お前、じゃあ、俺達の仲間じゃないのかよ。。。」 「うん。僕は、『オーケストラ』だから」 「オーケ?。。。何それ?」 「さぁ」 「。。。なんだそれ」  オミサスは当初、この痩せた少年を「残る人々」のところへ連れて行く予定だったが、仲間でもないことを知り、その行動に待ったをかけていた。  ―――つまり侵略者側かよ。  となればレルケを連れて行くことなど考えられない。  ここで別れよう。  そう決めると、オミサスは無言で立ち上がり、無言で歩き出し―――もしあの少年が付いて来るようなら啖呵を切って追い払うつもりだ―――3歩もしないうちに行く手をさえぎられた。  レルケは、  別に追いかけるでも立ち上がるでもなく、まだ蝶を目で追っている。  それを横目でまず確認すると、オミサスは影のできた自分の顔を上に向け、  そして表情を凍らせた。    目の前には隻眼の女が立っている。  その唯一見せている右目は、控えめに言ったとしても殺気をはらんでいる様を誤魔化しきれそうにはない。     
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