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(5)原因調査と対応
…おいらがトラックでひいたヤクザが勇者で…
…俺を刺したヤクザが暴竜王のネコで俺が愛する女魔法使いで…
…ネコだった私を毒殺した勇者をワシが刺して…
…我、暴竜王は勇者に毒殺された美少年であると同時に、ペットに喰わせるアリンコで…
バハラス城の中は、ぶつぶつとつぶやきながら己の前世アイデンティティに悩む者たちで満ち、ラスボス戦はいっこうに始まる気配を見せない。
…これは困った。
これでは、この位相の世界の運命が停止したまま、先に進まないと判断した神たちは、不祥事の原因調査を命令。
調査の結果、前世からの転生プログラムに深刻なバグが発覚。
修復不可能と判断されたため、この世界の時間軸は400年以上前へのリセットが決定した。
そのため、勇者も女魔法使いも賢者も暴竜王も、彼らの転生に関わるヤクザもトラック運転手も天才的美少年歌手もライバルもネコもテッポウウオもアリンコも、存在しないこととなった。
なお、暴竜王バハラスvs.勇者ショウという、とっておきの神回、もとい神界イベントの消滅を、「もったいねえなぁ」と、神たちが惜しんだかどうかは、記録にない。
おしまい
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