毒がとける

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テーブルの上に一杯の水 一滴の毒を点す 屈折率の違う液体が混ざる 陽炎のように揺らめいて消えた 毒が溶けた水 蛍光灯の光がすり抜けて歪む その影に私が融けた 空っぽのコップに残る水滴 ゆっくりと落ちて机に染み込む 飲み干した毒が私に溶ける 瞼を閉じて、数分 目を開いた 私に融けた毒が苛む どうやらまだまだ足りないらしい もう一杯、水を飲んだ 毒に溶ける事を望んでいるのか 毒が解ける事を望んでいるのか 蛇口を捻って水を入れる また一杯飲み干してコップを置いた さて、私は死んだのか? さて、私は生きたのか。
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