131人が本棚に入れています
本棚に追加
目覚めると、僕は白い世界にいた。
白い天井に白い壁。白いベッドに白いドア。
ここは……病院だ。でも、どっちのだ!?
普通の病院か、奴らの施設の病院か。
純花は!? 純花は無事だろうか?
「うっ!」
ガバッと起き上がろうとした僕は、激痛に呻いた。
身体のあちこちが痛む。
「気が付きましたか」
咄嗟に身構えたものの、僕に近寄ってきた人物が小山田だとわかると一気に脱力した。
「純花は? 純花はどうした?」
「彼女は無事ですよ」
「そうか! ……良かった」
もう純花と僕の人生は交わらないけれど……。
それでも、彼女には笑顔でいて欲しい。
「あなたの方も全身打撲と擦り傷だけで済んだのは奇跡ですね」
「奴らはどうなった?」
「あなたを拉致しようとしたところを警備員に取り押さえられて、駆け付けた我々がアジトを吐かせたので一網打尽に出来ました。解決です」
「解決?」
その単語を脳が理解するまで時間がかかった。
もう、逃げ回らなくてもいいのか。
偽りの人生を生きる必要もなくなった。
手放しでは喜べない寂しさと虚しさを感じた。
最初のコメントを投稿しよう!