発覚

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「【コブラ】もあなたの供述通りの量しか作られていませんでした。解決ですよ」 「……僕はどうなる?」 「司法取引による減刑はされますが、執行猶予なしの実刑判決が出るでしょう。もちろん奴らとは別の刑務所に収監されるよう手配します」 「……いろいろありがとうございました。申し訳ありませんでした」 僕が深々と頭を下げると、小山田がため息を零した。 「あなたの本質は善良だと思います。だからこそ、あんな奴らに騙されてしまった。しっかり反省して服役してください。そして、その後はあなたのその才能を人のために生かしてください」 「はい」 「まったく。あなたのせいで私は部下を一人失くしかけましたよ。あなたに張り付かせていた部下があなたに一言言いたいそうです」 そんなことを言って小山田がドアから顔を出し誰かを呼ぶと、パタパタと廊下を走る音が聞こえた。 「翔平さん!」 「純花!?」 勢いよく病室に入って来た純花を見て、弾かれたように僕は起き上がった。 鼻の頭にテープを貼っているほかは元気そうでホッとした。 でも、どうして彼女がここに? 純花には事の成り行きも僕の正体もバレてしまっただろうに。 「翔平さん、じゃない、板倉重弘さん。私もあなたに嘘を吐いていたの。ごめんなさい」 「……もしかして君は……小山田の部下だったの? 僕を監視するために近づいたのか?」 「あなたを見張りながら、あなたから組織のことを訊き出すのが私に与えられた役割でした。でも、親しくなればなるほど、私はあなたに惹かれていった。あなたを好きになったのは本当です」 「僕も、君を想う気持ちに嘘はなかった」 「待ってます。あなたが出所するまで何年でも。待たせて下さい」 「ありがとう……」 嗚咽を漏らした僕の手を、純花がそっと握ってくれた。 END
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