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01
「XX。お前が作曲の道に進む気がないなら、無理して進む必要はないよ。
大人の都合に振り回される息子なんて、見たくはないしね」
そう母親が言ったのは中学の三者面談の帰りだったか。
そしてあの時の季節は秋だったか。
中学時代の担任から、執拗に薦められた「アヴェロン」への推薦の話に、あまりいい反応を見せなかった息子が見ていられなかったのか、気を遣うような台詞を言わせてしまったな、という記憶がある。
この国で、音楽業界に進むか進まないかは、大きな分岐点だ。
いや、正確には「全く音楽に関わらない」人間などこの国には存在しないのかもしれない。
それ程、ここでは「音楽」が中心であり、どういった人間でも、少なくとも裏方などで音楽に繋がっていると思えた。
なので、言い直すなら「音楽の花形職業」につくか、それ以外に就くか、となるだろう。
「音楽の花形職業」。それは、演奏者であり、歌手であり、作詞家であり―――作曲者であった。
最近では総合的なプロデューサーもその一人に数えられ、注目され始めている。
そんな中、某後輩君に芽生えた才能は「作曲」。
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