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もしや間に合う?!
緋沙子の嘘に傷ついたけど、自分が原因を作ったのだと思うと私からはそれ以上何も言えなくて、緋沙子からそっと目をそらしてた。
あぁ…もう…終わりなんだな。
漠然とそう感じて、緋沙子との15年を思い出した。
色んな思い出がいっぱい。
2人で泣いた夜もあったし、一緒に暮らし始めたばかりの頃はしょっちゅう喧嘩もした。
今は思い出すことも出来ないような、ものすごく下らない話で笑って…笑いすぎて息もできなかったなんて事もあった。
あぁ…バカだなぁ私。
好きな人に好きになってもらえて、好きな人と暮らせてその関係を維持させることが出来たのは、どれ程の奇跡だったのかと今更、思い知るなんて…。
…私は本当に浅はかだ。
もし緋沙子が別れたいのなら、黙って立ち去ろう。
それが私が最後にしてあげられることだなんて辛いけど、自分のしてきたことに責任とれないなんてダメだよね…。
そんな事を考え絶望していたら緋沙子の消えそうなかすれた声が聞こえた。
「美登理…好き」
それは確かに聞こえてきて、失ってしまったのだと思った緋沙子の気持ちがまだ私にあると思うと止めようもなく涙が出てきた。
返事…返事をしなくちゃ!
「わ、私も。好き!」
それ以上は何をいっていいのか、何を言うべきなのかもう、わからなかった。
気づいたら私は緋沙子を抱きしめていた。
もう離さない!絶対!!
「好き…愛してる。どこにも行かないで。」
私は泣きながらみっともなく懇願していた。
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